月とスッポン ありのままは難しい
ウケる。
「そんなにおかしいですか?」
不貞腐れる大河が余計にツボにハマる。
「イヤ。あるあるです。にしても、よく残っていたものだと感心しますよね」
「記念に取っておいたのか、行った証明として取っておいたのか」
「私もどこかのサイトで見たんですけど、戦国武将って新しいモノ好きだったんですって。で、手紙で自慢しまくってたらしくて。
《信長に弥助って言う黒人さんがいたじゃないですか。彼がいると言うことは黒人奴隷が日本にもいた証拠だって騒がれた時、新しいモノ好きで、筆マメな武将達が自慢していないって言うことはいなかった証拠だって上がっていて。》
それがおかしかったんですよね」
「まさに、褒めているのか?貶しているのか?ですね」
「ですよね」
「どちらにしても、後世に生きる人間としてはありがたい限りです」
「大河さんが残したメモも何百年後には貴重な資料になるかもですよ」
「デジタル社会では、紙媒体はより貴重な資料になりそうですけど、なんだかバカにされそうでイヤですね」
「こんなくだらない事、真剣に考えてるワラって」
「愛を綴った手紙を孫達が読んで赤面させましょうか?」
何を言っているんだかよくわからないので聞き流す。
ガラスケースの中に収められている十一面観音像と智証大師坐像の前に立つ。
「本物?」
大河は隣には並ばず、また私の後ろから仏像を見ている。説明をするのに周りの人に迷惑をかけないポジショニング。