月とスッポン ありのままは難しい
「《アールグレイはベルガモットの香りをつけた紅茶で、ダージリンはインドのダージリン地方で生産される紅茶です。
アイスティーにおすすめ紅茶の種類は、ディンブラ、アッサム、アールグレイなどの渋みが少ないものなのですが、個人的にはダージリンの繊細で奥深い香り上質な渋みとコクが私に1番あっている気がします》」
「へー、クワシインデスネ」
景色を堪能しながら、話半分で大河の話を聞く。
「高校の時、1ヶ月ほどロンドンに滞在していた事があったんですけどね。その時、イギリスなら紅茶だろうと意気込んで勉強したんです」
「へー」「そうなんだ」と適当に相槌を入れる。
高校で短期留学なんて、金あるなぁ
と思ったが、お金がある事は間違いないので黙っておこう。
「ほとんど飲みませんでした」
「マジ!」
予想外の話の展開に思わず振り向く。
苦笑いしながら大河は話を続ける。
「もちろん多くの人は紅茶を好み、売り場も広く様々な種類がありましたけど、それと同じぐらいコーヒーを好む方も多いみたいで。
意気込んで紅茶を飲むと行かなければ私は辿り着けませんでした」
「ウケる」
「慶太郎に「コーヒー、飲み過ぎ」だと言われて控えるようになって、ようやくあの時の知識が役に立ちました」
「良かったですね」
大河の顔を見て言えば、満足した顔をして飲み終わったカップを私の手から奪う。
捨てに行き戻ってきたと思えば「そう言えば」とイギリスの思い出を話し出した。