月とスッポン      ありのままは難しい

「《平安時代、貴族や女流文学者たちの間で石山詣で流行していたそうです。

明け方に出発し、逢坂の関を越えて打出浜から船に乗り、夕方に石山寺に着き、観音堂で夜通し祈願したり、琵琶湖の景色を愛でたり、作品の構想を練ったりしていたと言われています》」
「昔から名所だったんですね」


「《清少納言や和泉式部などが石山寺のことをその作品に描いており、女流文学の開花の舞台となりました。
中でも有名な紫式部で、この石山寺に参籠し、十五夜の名月を眺めたとき源氏物語の構想を思い起こしたとされています》」
「清少納言に紫式部。源氏物語。読んだ事ないなぁ」

「ないんですか!」
「ないですねぇ」

じゃかりこが止まらない。

「授業で必ず読むものだと思うのですが」
「教科書に載ってるのなら読んだ事あるのかも?でも覚えてないです。
源氏物語ってめっちゃ女好きな人の話ですよね。なんか抵抗がある」

「その時代の考えや文化を現代に当てはめて考えてはいけませんよ」
「それはわかっているが、読む気になれないものは仕方なくないですか?」

「それは否定できません。文学としては素晴らしいですが、主人公の気持ちを分かれと言われても分かりませんでしたから」
「でしょ!」

と言いつつ、じゃかりこに手が伸びる。
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