月とスッポン      ありのままは難しい

「《度重なる被災により、鎌倉時代頃に廃絶し、現在では跡地には石標あるだけだそうです。
ただ道長の別荘を息子の藤原頼通が法成寺をモデルに建立したのが【平等院鳳凰堂】なので、そちらを見れば面影に触れられそうですね」
「平等院。10円。めっちゃ行きたい場所!」

琵琶湖沿いから川沿いに変わる。

信号で止まり、ふと橋を見れば
「せたからはし」と読めた。

「《近江八景【瀬田の夕照】でも有名で、日本三古橋、宇治橋、山崎橋、そして瀬田の唐橋の3つの橋が日本三古橋と呼ばれています。
日本書紀にも登場する。現在の状態は、織田信長により現在の状況に整備されました。》
青ですよ」

見るように解説しているくせに「進め」とはひどい男だ。

「そのまま川沿いに進んでください。駐車場がありますので」

駐車場ではなく石山寺でナビ設定をしていた私をさりげなくナビフォローをする。

出来る男は違う。

駐車場に車が入ると同時におじさんが出てくる。料金を払えば、「空いてるからどこでもいいよ」と中に戻っていってしまった。

あまりのあっさり加減に2人で顔を見合わせて笑った。

「さぁ、ラスト。張り切って参りましょう」
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