月とスッポン      ありのままは難しい

隣にある毘沙門堂に挨拶を終え、正面にある次のお堂へと向かう。

「《ちなみに、四国88ヵ所巡りは約1200年前に弘法大師空海が開創したと伝えら煩悩を払い、心身を清め、願いを成就させることが目的だそうです》」
「それが言いたかったんですね」
「はい」

素直な事はいい事だ。

「煩悩まみれの私には、周る資格はまだなさそうですね」

蓮如堂の前に立ち挨拶をする。

「《蓮如堂は、当初は三十八所権現社の拝殿として建築されたもので、明治以降は蓮如上人6歳の御影や遺品を祀る堂として使用されています》」
「蓮如は存在した!」

某ドキュメント番組風に言ったのに

「《蓮如は室町時代の浄土真宗の僧で、『大谷本願寺』7世法主である『存如』の第1子です。
ただ蓮如の母は正妻ではなかったため、幼い蓮如上人を残して、別れなければならなかったそうです」

流されたので、私も言わなかった風を装う。

「それはそれは。テンプレな話で」
「テンプレ?テンプレート。そうですね」

1人でうんうんと納得している。

「ですが、幼いときのこの哀しい経験こそ、その後の念仏の教えを多くの大衆の人たちの心に深く響かせるキッカケになったと言われていますし」
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