月とスッポン ありのままは難しい
「そうなんです。安産祈願の聖地に何故経蔵を建てたのか、釈然としませんね」
「しかも丁度良いぐあいに座れるし」
「往時の時代背景を鑑みると、政治を牛耳る藤原氏神道の象徴日本書紀に対峙するのが、物部氏 仏教の【経典】でした。
石山寺が反藤原氏の筆頭 聖武天皇の息のかかった拠点であったことから考えると、弘法大師とも強く繋がった【経典】が焼き討ちの標的になるのは必然です。
故に安産祈願は後付であり、日夜、経典を守る番人が座した場所だったと考えると腑に落ちます》」
「つまり?」
「つまり 経典=赤子 と見做し、それらを守護した事で目眩しをしたと考えるのは考え過ぎでしょうか?」
「えー、なんかありそう。
交代の見張りをするのに、ここに座れば雨風が避けれるから始まって。それでも寒いからやりたくないってなって」
「見張りをやれば特別給与が出るといっても次第にそれでも割に合わないと言われ」
「それでもありがたい聖教の下で一晩を明かしたら良い縁に恵まれたとか危ないと言われていた子が元気に産まれたとかいい事があったと言われれば藁にも縋りたい人が合わられて」
「そこまでしてまで叶えたいのならなんとかしてあげようと言う人も現れると」
「そうすれば見張り役は取り合いになると。でも、そこまで人の心理を使う人なんている?」
「歴史に名を残した指導者には必ずといっていいほど、天才的な頭脳を持った参謀がそばにいました。
劉備には諸葛孔明が、豊臣秀吉には黒田官兵衛がいたようにです」
「徳川家康には?」
「本多正信」
「本多忠勝なら知ってる。武田信玄は?」
「山本勘助」
「知らん。じゃぁ、上杉謙信」
「直江兼続は知ってますよね」
「愛の人でしょ。それぐらい知ってる」