月とスッポン      ありのままは難しい

「コースか?左に行って光堂を目指すか?ですね」
「《2008年落慶の新しい堂宇です。伝統的建築技法の舞台造とも呼ばれる懸崖造で建立され、鎌倉時代に焼失したと伝わる【光堂】と呼ばれた堂宇を復興再建したもので、近くには、土佐光起が描いた【紫式部図】を元に制作された紫式部像があります》」
「紫式部!石山寺に来たのなら、会わねば‼︎」

光堂を目指し歩き出す私に

「月見亭から回るというルートもあるんですよ」
「疲れた。紫式部に会って帰る」
「歌川広重は次回ですか?」
「次のお楽しみに」

疲れたのなら月見亭から下山すれば

なにか小言が聞こえるが、こう時は秘技
「これは?」と

「めかくし石ですね」

よし成功だ。

「《鎌倉時代後期の作と伝わる石造宝塔です。よく見ると形が多宝塔を模しています。
おそらくこのめかくし石は【石塔】であり、それを建物に具現化したものが多宝塔と言われています。「目かくしして、この石を完全に抱けば祈願成就と云う」とされています》」

「いや、この太さは完全に抱きしめられないでしょ!」
「ですよね。《古くは「父母を亡くした子供が目隠しをし、これをつかまえると死後にあの世で父母に逢える」と伝承されていたそうですから、これが時代を経て転訛したのでしょうけれども、これは実際に見ても、大人でもとてもひとりで抱ける太さではありませんね》」

やはり百聞は一見にしかずですね

そこ、微笑むな!
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