月とスッポン      ありのままは難しい

紫式部像から下に下る小道を降りていく。

人が1人通れるだけの小道。見えげるように紫式部を取っていれば、大河が私の前を歩き出す。

少しだけの段差なのに手を差し出される。
紳士だ。ここに紳士がおる。
だが、「大丈夫」と1人で降りていく。

我ながら可愛くない。だけど、人の手を借りるほどの坂でのない事は確かだ。

「そうですか。でも、この道で合っているのですか?」
「違うんですか!」
「茜が降ったので、私も着いてきただけです」

突然の発言に思わず大河の手を掴む。

「まぁ。道は続いてますし、境内にいますのでなんとかなるのでは?」

目を見開き大河を見れば、嬉しそうな顔でこちらを見ている。

「私と茜しかいない空間なんて、長野を思い出しますね」

ようやく少しだけ開けた道に着く。それでも舗装されていない道で、砂利道が広がっている。

「あちらにもなにかありそうですね、行って見ますか?」

ようやく降りてきたのに、再度登ろうとする大河の手を引きながら

「どう考えてもこっちでしょ!」

と坂道を下る。

「残念です」

なんて言っているが、足取り軽く水音のする方へ引っ張られていく。

自分のペースで歩いたいのだが、このペースがちょうど良かったりするのでタチが悪い。
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