月とスッポン ありのままは難しい
広場に出れば少し離れた場所に滝が見える。
「《あちらの石畳を登っていくと【八大龍王社 】があり、池の中の島には小さな祠が建ち、釈迦の眷属として釈迦を守った守護神でもあり、仏法を守護する【八大龍王】を祀っています。
その池は龍穴とされ、炎天下でも請雨法を修すれば必ず雨が降るという伝説の池だそうですよ》」
行きますか?とようやく地上に戻れた喜びを噛みしめている私の手を引く。
「龍という響きには物凄く惹かれますけど、行きません」
惹かれた手を戻すと、思った以上に簡単に大河が私の近くへと引き寄せらせれた。
これは行く気がないにも関わらずあえて言ったな。
さぁ、帰りましょうと緩やかな、今までの険しい山道が嘘のような緩やかな砂利道を歩く。
「あれをご覧ください」と繋いだ手を差し棒代わりにしめ縄をした石を示す。
「《あちらは石切場から天智天皇の時代に切り出された石は川原寺中金堂の礎石に使用されました》」
「川原寺、天智天皇」
と呟くと
「《川原寺は飛鳥寺・薬師寺・大官大寺と並び【飛鳥の四大寺】の1つに数えられた大寺院でしたが、中世以降衰微し廃寺となり現在は弘福寺が跡地を守っているそうです。
平城京遷都とともに他の三大寺は本拠を平城京へ移しましたが、川原寺は移転せず、飛鳥の地にとどまったそうです。
川原寺は【飛鳥四大寺】に数えられるほどの大きなスケールと国家事業としての写経が我が国で始めて行われたほどのお寺であるにも関わらず、その創建の理由、創建の時期等の詳細について、日本書紀等の文献に、ほとんど姿を現しません。
そんな謎多き寺院の痕跡がここ石山寺で見ることが出来るのはロマンを感じます》」
「私は飛鳥四大寺と言う響きにロマンを感じます」
「また行きましょうね、奈良」
爽やかな笑顔でこちらを見ている。
だけど、私は
「天智天皇。中大兄皇子。近江神社。やっぱり天智天皇陵も行くべきですよね。天皇陵といえばやっぱり京都ですよね。帰って調べよ」
と天智天皇に思いを馳せていた。