月とスッポン ありのままは難しい
砂利道から舗装された道に戻れば、ついに石山寺詣りの終わりとなる。
足取り軽く潜った東大門に、
「安易に考えていました。今度はしっかりとゆっくりと回らせて頂きます」
と深く深く頭を下げた。
駐車場に向かい歩いていく。
時間を確認すれば、予定時刻を大幅にオーバーしていた。
「ゆっくりしてしまいましたね」
「奈良と同じで、境内の広さを甘く見ていました。もう少し絞ればよかった」
「でも、来たからにはと思ってしまいますよね」
「それな。これで琵琶湖の四分の1ですからね」
「彦根に近江八幡」
「賤ヶ岳に小谷城にも惹かれる」
「浅井家参りですね。それは惹かれます」
お土産屋が目に入る。
「土産買ってない」
そうだ。日持ちがして、滋賀らしく万人受けするものを買わねば
大河を置き去りにして店に入る。
一通り見てから、買って外に出れば、ソフトクリームを食べる大河がいた。
似合うような似合わないような
思わず写真に収める。
「プリンソフトだそうです」
口元に差し出されれば、口にするのが人間の本能。
一口もらえば「美味しい」と言葉が漏れる。
「クールダウンにちょうどいいですよね」
私の後を食べる大河を見て、受け取ってから食べれば良かったと後悔する。
いい男は何を食べても絵になるらしい。
「どうしました?もう少し食べますか?」
一口食べてから私の口元にソフトを差し出す。
この動作をどう表現したものか?
「えっろ」
そうだ。それが正しい。見事に当てはまる。完全なるピース。
「もう一口食べて」とお願いすれば、首を傾げつつ一口食べる。