月とスッポン      ありのままは難しい
素直ないい子だ。

その瞬間を逃さず写真に収め、即座に海たちに送る。
既読がつけば、すぐに返事が返ってくる。

「何をしてるんですか」
「ほら、みんな同じ意見」

これを見よとスマホを突きつければ

「誰に何を送っているんですか!」

と私のスマホを取り上げられる。

私がどんなに頑張っても手の長さや力には勝てず、簡単にスマホを取り上げられてしまう。

「返してください」

取り返そうとしても高く上げられたスマホに届くはずもなく。
「消します」と器用に掲げたスマホを片手で操作している。

器用に操作している隙に、車に乗り込む。

「置いていかないでください」

私が運転しようと思っていたのにとぶつぶつ言っているのは無視しよう。

「命の次に大事なスマホを置いていくわけがないじゃないですか!」

スマホを返せと手を出せば、スマホの代わりに大河の手が乗せられる。
お手じゃない。

振り下ろし「スマホを返してください」と再度手を出す。

「何見ますか?カルタ?それとも幕末?」
「幕末でお願いします」

スマホでセットするついでに、大河が何を操作したのかも確認しておく。

やっぱり消してある。
だが、消せば終わりだと思うな。

帰りは自宅に設定していざ出発だ。

「消した事は怒らないのですか?」

始まった映像を横目に大河が聞いてきた。

「怒ってないのですか?」と
「怒ってないですよ。見せるのが目的なので、目的は達成してますし」
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