月とスッポン ありのままは難しい
「浜名湖!寄って!寄ってください」
話をぶった切る。
「トイレですか?」
もうちょっと言い方ってものがあると思うが、完全に否定出来ないのが悲しい。
最近のお菓子や定番菓子、季節限定菓子をゆっくりと見ながら、夜のお菓子を見つけ出す。
「この前貰って美味しかったんですよ」
「誰にですか?」
それ重要?と思いつつも、隠すことはないので
「病院長から。ほら、彩綾さんにやらかしたたぬき親父。でも、今じゃすっかり好好爺で仲良しなんです」
何か言いたそうな顔をしているが、すでに過去の話なので、言わせない。
「元々は彩綾さんの報告会だったんですけどね。お茶請けにお土産を持っていったら、いつの間にかご当地定番菓子の会になっちゃって。あれ美味しいとかここは見応えがあるとか、行った先の報告会になってますよ」
大河の眉間に皺が寄っていたが、話を進めていくうちに呆れた顔になっていく。
「気づいたら、大所帯で、今では病院の一ヶ所を占拠ですよ」
夜のお菓子と真夜中のお菓子を持って、レジに向かう。
その途中で、怪しげなソーダとコーヒーを手に取り、大河も私の後ろに着いてくる。
「これも一緒に」とか言って払うつもりに違いない。
「一発逆転ホームランと言うよりも『代打逆転サヨナラ満塁本塁打』って感じですね」
「野球の事はちょっとわからないです」
レジにつき「これも一緒に。交通系で払います」
なんてスムーズな会計だろう。
悔しそうな大河に怪しげなソーダとコーヒーを渡して
さぁ、第二作目を見なさい。
とエンジンをかけた。