月とスッポン ありのままは難しい
さぁ、反撃開始です。
「家族だからなんですか?色々ってなんですか?」
『色々って』
言いかけた声を遮る。
「家族だから協力しろと言うのなら、今現在の家族で協力し合ってください。
何年も電話、いやメールすら来ないのに、困った時だけ連絡してきて手伝ってもらえると思う神経がわかりません」
『それは』
「そもそも、早苗さんはご存知なんですか?私に介護を要請する事。と言うよりも、おばぁがすでに亡くなっている事、私と言う義理の娘がいる事。知らないんじゃないですか?」
[マジ?]
[ゲスい]
「おばぁが生前言ってました。順、父親には新しい家族が出来たから。でも私達はその中には入れないって。当てにしてはダメだって。
だから私はあなたに必要最低限の連絡しかしませんでした。けど、その連絡すらあなたは無碍にした。あなたにも介護の義務があったにも関わらずです。
だから、おばぁは私が、一人で面倒を見るつもりで。
でも、一人じゃ無理だって。綾香さんや海。周りの人が手を貸してくれました。
安心で安全で健やかに少しでも長く生きて貰うために、何が出来るのか、何をするべきなのかを考えて行動するのが介護だって。どうしていいか分からなくって、助けてって思って連絡してもあなたは今忙しいから、落ち着いたら電話するって言って、8年です」
口に出せば、言葉にすれば、心の奥にある黒い物を形にしてしまえば、認めてしまえば、苦しくなると、ふわふわしたまま心の奥にしまい込んでいたものが溢れ出す。
大きく息を吐き、心を落ち着かせる。