月とスッポン ありのままは難しい
家族になりませんか?
で、冒頭に戻るのだが。
一気に話し終えた達成感か疲労感か。大きく息を吐く。
確かに人に話す事によって自分の考えはまとまり、何が問題だったのかが明確になるものだ。
「そっかぁ。名実ともに一人になったのかぁ」
「名実とは外から見た評判と、内面の実質が両方とも優れている状況を強調する言葉ですので、この場合『自他共に』でしょうか」
しんみりと呟いた独り言にしれっと訂正しないでほしいものだ。
そう思い大河を睨めば、目と目が合いニコッと微笑まられた。
大河は私を包み込むように座り直す。
普段なら「近い」とか言って、一段下に降りるのだけど、体がそれを拒んだ。
大河の温度が、匂いが一人になったと実感してしまった私をホッとさせる。
それはまるでここにいていいんだよと言ってくれているようで、心の中の塊が少し解れたような気がした。
体の力が抜けた事を大河も感じ取ったのだろう。
私の頭に顎を乗せる。
頭のてっぺんから感じる重みが、なぜか心地良かった。
人とのスキンシップは、幸福感や安心感をもたらすホルモンが分泌され、ストレス軽減や不安の抑制、リラックス効果が得られる。
それを聞いた時、都市伝説か何かだと思っていた。
包み込まれたになんて、幼い頃に数回あるかないかだ。
なんだか懐かしくて、ホッとする。
そう思っていると、頭の上から言葉が降ってくる。