月とスッポン ありのままは難しい
「私と家族になりませんか?」
「娘になるって事?それは大河さんの?それとも泰臣さんの?」
深いため息が聞こえたと思ったら
「こんな大きな娘も妹もいりません」と聞こえる。
失礼なやつだ。
またゴニョゴニョと聞こえるが、それはいつものように放置で、寂しいと認識してしまった今、この温もりをお借りしようと、より一層力が抜け大河に身を委ねる。
私の力が抜けるのと同時に大河が私にかける力が増したような気がする。
少しだけ重みが増したのだが、それ自体が心地よい。
息を吸いこみ、吐き出す。肺の動きまで感じ取れる距離に人がいる。とっても新鮮で懐かしい変な感じがする。
「結婚前提でお付き合いしていただけませんか?」
思ってもみなかった言葉に、振り返る。
「えーっと、それは冗談とかじゃなくて?」
真剣な眼差しを誤魔化すかのように、あえて軽く返してしまった。
「本気です」
それを茶化す事なく真剣な眼差しで答える大河に、このまま流すという選択肢が消えた。
「なら、そういった事は考えた事がないからよくわからないですけど」
独り言で呟く。
「ん?」
と首を傾げる姿、かわいいではないか!
そういうことではなく。
と咳払いをしてから、正気に話をしよう。
嘘なく思った事を誠実に。
スッキリ全部話して終わりにしよう。