月とスッポン      ありのままは難しい

これ以上話を続ければ良くて京都、最悪平泉へ行く確約をしてしまいかねない。
そうならない為には話を変えるのが1番。

否応なく目入る看板は有難い。

【おことわり】と書かれた看板を指差し、シーと指を口に当てる。
大して大きな声で話していた訳ではないが、大河の声が小さくなる。

「《にない堂は、1595年 文禄4年に建立され、そして国の重要文化財に指定されています。そのにない堂で行われている【四種三昧】は比叡山で最も歴史の古い、基本的な修行です。中国の天台大師による【摩訶止観】に基づき、常坐三昧・常行三昧・半行半坐三昧・非行非坐三昧の四種です》」

一つづつ指を立てながら、四種を言ったかと思えば、今度は立てた指を折りながら、三昧の説明をしていく。


「《【常坐三昧】は、静寂な堂内に一人で入堂し、坐禅に没頭します。2度の食事と用便以外はもっぱら坐り続けます。
【常行三昧】は、念仏をとなえながら、本尊阿弥陀仏の周囲をまわり続けます。堂内の柱間にしつらえた横木を頼りに歩いたり、天井からつり下げられた麻紐につかまって歩を休めることはできますが、決して坐臥しません》」
「わお」

と思わず声が出た。
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