月とスッポン      ありのままは難しい
「《比叡山延暦寺の現存する堂宇で最も古い建物で、桁行七間の大きなお堂です》」
「たけゆき、しちけん?」
「《建物の長手方向の柱間、間口が7つあること指す仏堂の規模形式です》」

1、2、3と間口を指で追いながら数えていく。

「7。おぉ」
「《一時期荒廃しますが、900年代良源により復興整備されます。
その後焼き討ちで焼失し、豊臣秀吉に再興を願い出、三井寺からこの地に移築されました。
建物は1347年 貞和三年に造られたもので、比叡山に現存する仏堂では最古のものになります》」

きた道を戻る。

転法輪堂を目指して下った階段をにない堂に向かって登ると、改めて急な階段だったと実感させられる。

登ったり下ったり。なかなか足にくるものがある。
気合を入れて慣らしたスニーカーのおかげで、この疲労もまだマシだと思おう。

今日は絶対に湯船に浸かる。

階段を登り終わり、上から転法輪堂をもう一度眺める。

「次は必ず会いに来ます」

そう誓い、前を向き直す。

木々の中にある建物が目に入る。

「なんかある」
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