月とスッポン ありのままは難しい
「《現在のものは天保年間の再建といいます。「黒谷青龍寺に隠遁する直前に決死の覚悟の表明として」己の墓を建立したのだとか》」
「ほぉ」
「《真盛が開祖した天台宗真盛派の大本山は、坂本の西教寺です。そこに宗祖大師堂がありますので、下山したら向かいましょうね》」
言われなくても行くが、言われると腹が立つ。
後ろ髪を強く引っ張られながらも、帰路に着く。
「気になるのなら、戻りますか?」
なんて軽く言わないでほしい。
「次回のお楽しみにしておきます」
「次回も楽しみですね」
一緒に行く事が前提で話が進んでいるが、聞かなかったことにしよう。
繋いだ手を右側に上された。上された方向を見れば、石碑が建っている。
「【真盛上人修学之地】と【親鸞聖人ご修行の地】ですね」
そう書いてありますね。
それぐらい読める。
「《浄土真宗の宗祖親鸞聖人は、戦乱や災害が相次いだ平安時代末期から鎌倉時代にかけて、90年のご生涯を送られました》」
「めっちゃ長生き」
「《親鸞聖人は9歳で出家され、20年間比叡山で厳しい修行と学問にはげまれました。
しかし修行に励めば励むほど見えてくるのは、末法の世では自力で万民を救うことができないと迷いの霧が晴れることはなく、29歳の親鸞聖人は20年に及ぶ比叡山での修行を断念し、民衆とともに救われる道を求めて、下山してしまいます》」