月とスッポン      ありのままは難しい
傾げて首を戻しながらお姉さんが言う。
なされるがまま納得出来ない顔をしているお姉様を鏡越しに見る。

「えっ。ヒッチコックの『知りすぎた男』とかデイビッド・バトラーの『2人でお茶を』なんて名作じゃない!」

見てないなんて人生損をしているわ
とお姉様が憤慨している。可愛らしい仕草に心が奪われる。
眼福です。

「そんな古い映画、相当の映画好きじゃなきゃ見ないわよ」
「古くないわよ。古い映画っていうのは、『風と共に』とか『モロッコ』とかを言うのよ」

それこそ、ドラマを見ているかの様にされるがまま2人を見ている。

「“ケ・セラ・セラ”、“なるようになる”でしたか。確かにそうかもしれませんね」

お姉様とお姉さんのやりとりを微笑ましく見ていたイケオジが2人の会話に終止符を打つ。

「でしょ」

不敵な笑みを浮かべるお姉様は美しい。

「大森くんへの長年の想いに終止符を打ったかと思えば、いきなり結婚してパリに行くって言い出す人間は違うわね」

ふふふと笑うお姉様は女神そのもの。

「えっ!ご結婚されるんですか?」

結婚してパリ?
貴族ですか?ついに社交会にお姉様の美しさが知れ渡る時が来たのですから?
いや、現代において貴族など‼︎
ここはやっぱりアラブの富豪か?ハリウッドの有名俳優か?はたまた超一流のスポーツ選手か?

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