月とスッポン      ありのままは難しい
「なんかすみません」

イケオジに謝られてしまった。
声が漏れていたようだ。
首を傾げる。その首をお姉さんに戻された。

「何この子。雫へのリスペクトが凄いんだけど」
「ここまで崇められたのは初めてよ」

お姉様、『雫』という名前なんですね。
一滴の雫が波紋を作りそれが広がるにつれ大きな影響を及ぼす。
まさにお姉様。そのもの。
拝んでおこう。

「何この子!」
「拝まなくていいから」

などの声が聞こえるが、気にしないでおこう。

色々と会話が進んでいるが、私の化粧講座は終わりを迎えようとしている。
たったこれだけで顔色がよくなった。

化粧ってすごい。

「一つお伺いしてもいいですか?大河君と遠出をしているとの事ですが、移動手段は何を利用されているのですか?」
「基本車ですけど?」

「2人でドライブ!」
「運転する大河さん。運転する姿を助手席から眺めて見たいものだわ」

お姉様の言葉にイケオジの眉間に川が流れる。

「冗談よ」とイケオジの腕を触るお姉様。
私はそれを永遠に眺めていたい。
やっぱり死んで幽霊になって、ずっとお姉様を見ていようか?

「怖いから、やめて」

また願望がこぼれ落ちてしまった。

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