あの夏、君と最初で最後の恋をした

夕食が終わり、片付けをして2人で庭に出る。
昼間の暑さは幾分か和らぎ、虫の鳴き声だけが響き渡っている。
優しく頬を撫でる風が気持ちいい。

2人で縁側に座り空を見上げる。

「やっぱり綺麗だね」

「うん、こんなに星って輝くんだね」

暗闇を明るく照らすようにたくさんの星が空に浮かんでいる。

都会と違いここで見る空は満天の星空でいつも圧倒される。

2人でゆっくり空を眺める時間が嬉しい。
いつも忙しく過ぎる時間が、ここにいる間はゆっくり過ぎていく。

「毎年ここで見る星空が好きだったんだ」

目を細めて空を見上げる颯太に胸がギュッとなった。

……過去形になんて、しないで、

「友花?」

颯太の言葉に俯いてしまった私に、
颯太は不思議そうに、
でもやっぱり優しく私の名前を呼んでくれる。

そんな颯太の肩に私は頭を寄せる。

「……どうしたの?」

「好きだよ、颯太」

思わず出た言葉。

だけど、本心だ。

颯太が好き。
颯太だけが好き。

颯太が好きで好きで、
大好きで。

「颯太がいなきゃ、ダメなの」

颯太を真っ直ぐに見てそう言った私に、
颯太は少し驚いた顔をしたけれど、
優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。

「僕も友花が好きだよ。
昔からずっと一緒にいた、幸せになってほしい大切な女の子だよ」

「じゃあ、このままずっと一緒に……」

「さっ、そろそろ中に戻ろう」

私の言葉を遮り颯太はそう言って私から離れた。

……ねぇ、颯太。
私達、ずっと一緒にいたよね。
小さい頃からずっとずっと、一緒に過ごした。
好きとかそんな言葉、言わなくても当たり前だった。

だから、そのまま幼なじみできちゃったよね。

一緒にいるのが当たり前で、
お互い大切で好きなのも当たり前で、
ずっとずっと一緒にいて、
一緒に大人になると思ってた。

その内自然に恋人同士になると思ってた。

当たり前のように、
私は大人になっても颯太と一緒にいると思ってた。


ねぇ、颯太。
私は颯太が大好き。

颯太も私と同じだよね?
私とずっと一緒にいたいって、そう思ってくれてるよね?

もう、
私の前からいなくならないよね?







ねぇ、颯太。
あの時の颯太の気持ち、
今なら分かるの。

颯太が私の幸せを昔からずっと、
あの時も願ってくれていた事も、
今なら分かるの。

なのに私は、
私の事だけだった。

ごめんね、颯太。

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