あの夏、君と最初で最後の恋をした

⑮

夕食が終わり、片付けをして2人で庭に出る。
昼間の暑さは幾分か和らぎ、虫の鳴き声だけが響き渡っている。
優しく頬を撫でる風が気持ちいい。

2人で縁側に座り空を見上げる。

「やっぱり綺麗だね」

「うん、こんなに星って輝くんだね」

暗闇を明るく照らすようにたくさんの星が空に浮かんでいる。

都会と違いここで見る空は満天の星空でいつも圧倒される。

2人でゆっくり空を眺める時間が嬉しい。
いつも忙しく過ぎる時間が、ここにいる間はゆっくり過ぎていく。

「毎年ここで見る星空が好きだったんだ」

目を細めて空を見上げる颯太に胸がギュッとなった。

……過去形になんて、しないで、

「友花?」

颯太の言葉に俯いてしまった私に、
颯太は不思議そうに、
でもやっぱり優しく私の名前を呼んでくれる。

そんな颯太の肩に私は頭を寄せる。

「……どうしたの?」

「好きだよ、颯太」

思わず出た言葉。

だけど、本心だ。

颯太が好き。
颯太だけが好き。

颯太が好きで好きで、
大好きで。

「颯太がいなきゃ、ダメなの」

颯太を真っ直ぐに見てそう言った私に、
颯太は少し驚いた顔をしたけれど、
優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。

「僕も友花が好きだよ。
昔からずっと一緒にいた、幸せになってほしい大切な女の子だよ」

「じゃあ、このままずっと一緒に……」

「さっ、そろそろ中に戻ろう」

私の言葉を遮り颯太はそう言って私から離れた。

……ねぇ、颯太。
私達、ずっと一緒にいたよね。
小さい頃からずっとずっと、一緒に過ごした。
好きとかそんな言葉、言わなくても当たり前だった。

だから、そのまま幼なじみできちゃったよね。

一緒にいるのが当たり前で、
お互い大切で好きなのも当たり前で、
ずっとずっと一緒にいて、
一緒に大人になると思ってた。

その内自然に恋人同士になると思ってた。

当たり前のように、
私は大人になっても颯太と一緒にいると思ってた。


ねぇ、颯太。
私は颯太が大好き。

颯太も私と同じだよね?
私とずっと一緒にいたいって、そう思ってくれてるよね?

もう、
私の前からいなくならないよね?







ねぇ、颯太。
あの時の颯太の気持ち、
今なら分かるの。

颯太が私の幸せを昔からずっと、
あの時も願ってくれていた事も、
今なら分かるの。

なのに私は、
私の事だけだった。

ごめんね、颯太。

< 16 / 48 >

この作品をシェア

pagetop