あの夏、君と最初で最後の恋をした

他愛もない話をしながら、颯太と一緒にご飯を食べて、
一緒に片付けをする。
そんな何でもない時間が、大切で愛しい。

その後は2人で庭に出て、縁側に座ってゆっくりと空を見上げる。
満天の星は眩いばかりに暗闇を明るく照らす。

「綺麗……」

「うん、本当に……」

今日の星は本当に綺麗でため息が出るほどだ。

「昔から友花は星を眺めるのが好きだよね」

「うん。でも颯太みたいに星座を調べようとはしなかったんだよね。
ただ綺麗だなーって見るだけで。
颯太が教えてくれるからいいやって」

「それでいいんだよ。
綺麗な物を見て素直に綺麗だって言えるのが友花のいいところなんだから」

「そうかなぁ?」

「うん。
これからもそんな友花でいてほしい」

真っ直ぐに私を見てそう言う颯太に、
また胸がざわざわとするのが分かった。

「友花、僕はもうここにはいられない」

はっきりとそう口にした颯太に、
私の胸が潰れそうなほど大きな音をたてた。

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