あの夏、君と最初で最後の恋をした
㊵
颯太との二度目の別れが、近づいている。
「友花に幸せになってほしい。
友花が本当に大好きだから」
そう話す颯太の、私を抱きしめる腕が震えている。
「……いつか、おばあちゃんになって会った時には、
もう一度こうして抱きしめてくれる?」
私の言葉に颯太が応えるように、
私を強く抱きしめる。
「うん、何度だって抱きしめる」
「頑張ったって、たくさん褒めてくれる?」
「当たり前。
たくさん褒めるよ。友花がやめてって言うくらいに」
「……絶対だよ?」
「うん、約束」
そう言って指切りの代わりにキスをした。
「大好きだよ、颯太」
「僕も大好きだよ」
……本当は嫌だ。
颯太にずっとずっと隣にいてほしい。
颯太とずっとずっと一緒にいたい。
颯太がいなきゃ笑えない。
颯太がいなきゃ幸せになれない。
その思いはまだ変わらない。
嫌だよ、別れたくないよ。
ずっとずっと、一緒に生きていきたいよ。
……でも、
そう強く思っていたのは、
颯太、なんだ。
颯太は私がこれから先、幸せに生きていけるように戻ってきてくれた。
私が立ち上がって生きていけるように。
そのために、
もう一度、別れる事も覚悟して。
どれだけの覚悟で戻ってきてくれたんだろうか。
ただ私のこの先の幸せのためだけに。
私は颯太が好き。
大好き。
だからこそ、颯太の覚悟に、想いに、
応えたい。
「頑張るから。
私、ちゃんとする。
もうひとりで殻に閉じこもって泣かない。
ちゃんと、するから…·」
「うん、でも無理はしたら駄目だよ?」
「うん。
……ちゃんと、幸せになるから。
だから、見ててね」
「うん、見てるよ。
幸せになるんだよ」
「うん、ちゃんと、生きるから……」
「うん」
颯太が優しく笑って、
優しく暖かい手のひらで頭を撫でてくれる。
大好きな颯太の優しい暖かい手のひら。
大好きな颯太の優しい笑顔。
忘れない、忘れたくない。
颯太の全て、覚えおきたい。
「大好き、颯太。
大好き」
何度だって伝えたい。
大好きだよ、颯太。
「大好きだよ、友花」
もう一度、キスをする。
最後の、キス。
顔を上げて颯太を見る。
忘れない、
忘れないよ。
例え遠い未来、
颯太の言う通り好きな人が出来ても、
私は颯太の事忘れない。
「……そろそろ、時間だ」
「え……?」
そう、颯太が言った瞬間、
抗えない程の眠気に襲われる。
「颯太……」
瞼が重い。
必死に颯太の腕を掴むけれど、力が抜けて颯太の腕を離してしまう。
……ヤダ、ヤダよ颯太。
いかないで、
いかないで。
「ありがとう、友花。
大好きだよ」
意識を手放す瞬間に聞こえたのは、
颯太の優しい声だった――。
「友花に幸せになってほしい。
友花が本当に大好きだから」
そう話す颯太の、私を抱きしめる腕が震えている。
「……いつか、おばあちゃんになって会った時には、
もう一度こうして抱きしめてくれる?」
私の言葉に颯太が応えるように、
私を強く抱きしめる。
「うん、何度だって抱きしめる」
「頑張ったって、たくさん褒めてくれる?」
「当たり前。
たくさん褒めるよ。友花がやめてって言うくらいに」
「……絶対だよ?」
「うん、約束」
そう言って指切りの代わりにキスをした。
「大好きだよ、颯太」
「僕も大好きだよ」
……本当は嫌だ。
颯太にずっとずっと隣にいてほしい。
颯太とずっとずっと一緒にいたい。
颯太がいなきゃ笑えない。
颯太がいなきゃ幸せになれない。
その思いはまだ変わらない。
嫌だよ、別れたくないよ。
ずっとずっと、一緒に生きていきたいよ。
……でも、
そう強く思っていたのは、
颯太、なんだ。
颯太は私がこれから先、幸せに生きていけるように戻ってきてくれた。
私が立ち上がって生きていけるように。
そのために、
もう一度、別れる事も覚悟して。
どれだけの覚悟で戻ってきてくれたんだろうか。
ただ私のこの先の幸せのためだけに。
私は颯太が好き。
大好き。
だからこそ、颯太の覚悟に、想いに、
応えたい。
「頑張るから。
私、ちゃんとする。
もうひとりで殻に閉じこもって泣かない。
ちゃんと、するから…·」
「うん、でも無理はしたら駄目だよ?」
「うん。
……ちゃんと、幸せになるから。
だから、見ててね」
「うん、見てるよ。
幸せになるんだよ」
「うん、ちゃんと、生きるから……」
「うん」
颯太が優しく笑って、
優しく暖かい手のひらで頭を撫でてくれる。
大好きな颯太の優しい暖かい手のひら。
大好きな颯太の優しい笑顔。
忘れない、忘れたくない。
颯太の全て、覚えおきたい。
「大好き、颯太。
大好き」
何度だって伝えたい。
大好きだよ、颯太。
「大好きだよ、友花」
もう一度、キスをする。
最後の、キス。
顔を上げて颯太を見る。
忘れない、
忘れないよ。
例え遠い未来、
颯太の言う通り好きな人が出来ても、
私は颯太の事忘れない。
「……そろそろ、時間だ」
「え……?」
そう、颯太が言った瞬間、
抗えない程の眠気に襲われる。
「颯太……」
瞼が重い。
必死に颯太の腕を掴むけれど、力が抜けて颯太の腕を離してしまう。
……ヤダ、ヤダよ颯太。
いかないで、
いかないで。
「ありがとう、友花。
大好きだよ」
意識を手放す瞬間に聞こえたのは、
颯太の優しい声だった――。