あの夏、君と最初で最後の恋をした

夢を見た。
暖かくてふわふわして、優しくて嬉しくて。
だけど、少し悲しくて苦しくて。
そんな夢。


「……花、友花!」

名前を呼ばれ目を覚ます。

「やっと起きた!
もー、びっくりするじゃない!
こんなとこで寝てるわ中々起きないわ!」

まだぼんやりする頭でまわりを見渡す。

「……紬ちゃん?」

目に写るのは紬ちゃんの心配そうな顔。

「え、どした?
まだ寝ぼけてるの?」

「ううん、そうじゃなくて……」

少しはっきりしてきた頭で、もう一度まわりを見渡す。
だけど、颯太の姿は見当たらない。

「颯太……」

「え……?」

「紬ちゃん、颯太は?」

私の言葉に、紬ちゃんの表情がさっと変わるのが分かった。

「友花、まだ受け入れられないのは分かるよ。
だけど颯太君はもう……」

そこまで言って口ごもる。

「……違うの、分かってるの。
だけどね、颯太、昨日まで一緒にいたの」

「友花?
何を言って……」

「本当なの。
颯太、私のために戻ってくれてたんだよ」

私は昨日までの事を紬ちゃんに話した。

こんな事、信じられない人がほとんどなのは分かってる。
だけど、紬ちゃんは信じてくれるんじゃないかって思った。

上手く話せたか分からない。
だけど、紬ちゃんは真剣に聞いてくれた。

そして、私が話終わると私を抱きしめくれた。

「頑張ったね、友花も颯太君も」

「紬ちゃん……」

「友花が颯太君のために出来る事は、世界一幸せになる事だよ」

「……うん」

「……幸せだね、友花は。
こんなにも幸せを願ってくれる人、家族以外そうそういないよ」

「うん……」

「幸せになって、可愛いおばあちゃんになって遠い未来あっちで会わなきゃね」

「おばあちゃんになった私に颯太気づいてくれるかな?」

「気づく気づく!
友花ならどんな姿してても颯太君は気づいてくれるよ!」

「そうかなぁ」

そう言って笑ってた。

……颯太、
私、笑えてるよ。

見ててね、颯太。


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