あの夏、君と最初で最後の恋をした

㊹

「いってきまーす！」

そう叫んで家を飛び出る。
まだまだ容赦なく降りそそぐ太陽に負けじと顔を上げて歩く。

2学期が始まる。

この1年、私は抜け殻だった。
だけど、今は違う。
頑張るんだ。
楽しむんだ。
幸せに、なるんだ。

心配してくれた友達にもクラスメイトにもちゃんと謝ろう。
そしてありがとうを伝えよう。

ねぇ颯太。
私はまだ15歳の子ども。
人生はまだまだこれから。

だから、これから先楽しい事だけじゃない。
悲しい事も辛い事も苦しい事もたくさんたくさんあると思う。

だけど負けないよ。
だって、颯太が教えてくれたから。

私にはたくさんの大切な人達がまわりにいるって。
私には立ち上がる強さがあるって。

そして、
いつもあんな笑顔でいたんだって。

颯太、
私、頑張るからね。

今日はその第一歩。

教室の前で深呼吸して、ドアを開ける。


「おはよう！」


さあ、未来に向かって、
歩いていこう。