口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
「なんの面白みも、ないだろうが」
清広は一言つぐみに断ると、海上自衛隊の港が見える公園に連れて来てくれた。
休日に食料品や日用品の買い出しへ出かけることはあっても、明るい時間帯に海上自衛隊の基地を訪れる機会などない。
つぐみは目を丸くしながら、目の前に広がる光景を眺める。
「船がたくさん、停泊しています……!」
「間近で見るのは、初めてか」
「はい! 保育園と自宅の往復ばかりをしていたので……。今日、初めてこの公園に訪れました。ごめんなさい。海上自衛官の妻、失格です……」
「そんなことはない。一人で出歩いている最中、不審者に目をつけられても俺はつぐみを助けられないからな……」
清広に一人でここに来るなと命じられたつぐみは、少しだけ残念に思う。
(清広さんに会いたくて我慢できない時は、ここに来れば気分が落ち着くかなって、思えたのにな……)
清広が嫌がるのであれば、無理にここへ来る必要はない。
どちらにせよ、あと一年もすればつぐみは清広とともにここを離れるのだ。
今は彼と一緒に、この光景を目に焼きつけるのが先だろう。
清広は一言つぐみに断ると、海上自衛隊の港が見える公園に連れて来てくれた。
休日に食料品や日用品の買い出しへ出かけることはあっても、明るい時間帯に海上自衛隊の基地を訪れる機会などない。
つぐみは目を丸くしながら、目の前に広がる光景を眺める。
「船がたくさん、停泊しています……!」
「間近で見るのは、初めてか」
「はい! 保育園と自宅の往復ばかりをしていたので……。今日、初めてこの公園に訪れました。ごめんなさい。海上自衛官の妻、失格です……」
「そんなことはない。一人で出歩いている最中、不審者に目をつけられても俺はつぐみを助けられないからな……」
清広に一人でここに来るなと命じられたつぐみは、少しだけ残念に思う。
(清広さんに会いたくて我慢できない時は、ここに来れば気分が落ち着くかなって、思えたのにな……)
清広が嫌がるのであれば、無理にここへ来る必要はない。
どちらにせよ、あと一年もすればつぐみは清広とともにここを離れるのだ。
今は彼と一緒に、この光景を目に焼きつけるのが先だろう。