口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
「やるべきこと、たくさんありますね」
「ああ」
「俺は基地から二時間以内に通える範囲の場所であれば、問題ない。つぐみの職場に近いところに、家を借りよう」

 これから二人は、何度も頻繁に引っ越しをすることになるだろう。

 そのたびに職場を変え、住む場所を探すのは、大変なこともあるかもしれない。

「そうですね」

 ──それでも。

 つぐみは清広と一緒なら、どんな困難も乗り越えられると信じている。

「会えない日が多く、苦労をかけるが──こうして触れ合える距離にいる時は、とびきりの愛を注ぎ込んでやる」
「はい……っ!」

 つぐみは満面の笑みを浮かべると、彼の唇を拒むことなく受け入れた。

(離れていた分だけ、たくさんの愛を感じたい)

 恋とは、障害が多いほど燃え上がるものだ。

 離れている間に伝えられなかった分だけ、心の奥底に押し留めていた想いを打ち明けることさえできたのなら──二人は生涯、相思相愛な夫婦として、幸福な結婚生活を続けられるだろう。

「愛している。永遠に、離さない」
「頼まれても、離れません……」

 情熱的なキスを交わした二人は、愛する人が触れ合える場所にいる幸せに浸った。
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