口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
(何を言われても、心に響かない……)
彼が軍服のような衣装に身を包んで披露宴に参列していたのも、清広が海上自衛官として働いていたからだと耳にしても、どこか現実味がない。
心ここにあらずな様子で、つぐみは清広の言葉に耳を傾けていたのだが……。
「あの日。つぐみに別れを告げたのは、俺が潜水艦乗りになると決めたからだ」
十年越しに別れを切り出した理由を打ち明けられた彼女は、何を言われているかまったく理解できなかった。
「一度陸から離れると、数か月は戻って来られない。あのまま結婚したら、仕事に集中できないと思った」
彼の主張を話半分に聞いていたつぐみは、目の前が真っ暗になる。
(私と仕事を天秤にかけて、清広さんは後者を選んだんだ……)
耳を塞いで聞かなかったことにしたい気持ちでいっぱいになりながら、苦痛に耐え忍ぶ。
彼の告白は長い時間をかけて塞がったはずの古傷に、鋭利な刃物を突き立て抉っているようにしか思えなかったからだ。
「今なら……。問題ないとでも、言うのですか……」
「そうだ」
清広は低い声で、彼女の言葉に相槌を打つ。
それを耳にしたつぐみは、心の奥底で怒りが湧き上がって行くのを感じた。
彼が軍服のような衣装に身を包んで披露宴に参列していたのも、清広が海上自衛官として働いていたからだと耳にしても、どこか現実味がない。
心ここにあらずな様子で、つぐみは清広の言葉に耳を傾けていたのだが……。
「あの日。つぐみに別れを告げたのは、俺が潜水艦乗りになると決めたからだ」
十年越しに別れを切り出した理由を打ち明けられた彼女は、何を言われているかまったく理解できなかった。
「一度陸から離れると、数か月は戻って来られない。あのまま結婚したら、仕事に集中できないと思った」
彼の主張を話半分に聞いていたつぐみは、目の前が真っ暗になる。
(私と仕事を天秤にかけて、清広さんは後者を選んだんだ……)
耳を塞いで聞かなかったことにしたい気持ちでいっぱいになりながら、苦痛に耐え忍ぶ。
彼の告白は長い時間をかけて塞がったはずの古傷に、鋭利な刃物を突き立て抉っているようにしか思えなかったからだ。
「今なら……。問題ないとでも、言うのですか……」
「そうだ」
清広は低い声で、彼女の言葉に相槌を打つ。
それを耳にしたつぐみは、心の奥底で怒りが湧き上がって行くのを感じた。