口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
定期的に勤務先を変更することでどうにかやって来られたのは、自分が保育士以外の仕事を立派に勤め上げるビジョンが湧かないからだ。
「仕事、楽しいか」
愛する彼女の表情が曇ったことを、敏感に悟ったのだろう。
清広は優しい声で、彼女に問いかけた。
「どう、でしょう……。子ども達の成長が感じられた時や、笑顔を見ている時は……。私も嬉しい気持ちになりますが……。それよりも……」
か細い声で自身の気持ちを伝えていたつぐみは、そこでピタリと言葉を止めてしまった。
(今の私を知ってほしいとは、思っているけれど……)
いくら相手が清広だと言え、母親にすらも相談できないことを伝えてもいいのだろうかと我に返ったからだ。
(これから私が声に出すことは、清広さんを悲しませることだから……)
かつて愛する人の今を知るために言葉を交わそうとしている段階で、いきなり自身の弱みを打ち明けるくらいなら──やはり、聞いていて楽しく盛り上がれるような話をするべきだ。
(今の私は昔みたいに、何も知らない少女ではないと……知ってほしいだけなのに……)
清広から嫌われることを恐れたつぐみは、彼から視線を逸して口を閉ざした。
「仕事、楽しいか」
愛する彼女の表情が曇ったことを、敏感に悟ったのだろう。
清広は優しい声で、彼女に問いかけた。
「どう、でしょう……。子ども達の成長が感じられた時や、笑顔を見ている時は……。私も嬉しい気持ちになりますが……。それよりも……」
か細い声で自身の気持ちを伝えていたつぐみは、そこでピタリと言葉を止めてしまった。
(今の私を知ってほしいとは、思っているけれど……)
いくら相手が清広だと言え、母親にすらも相談できないことを伝えてもいいのだろうかと我に返ったからだ。
(これから私が声に出すことは、清広さんを悲しませることだから……)
かつて愛する人の今を知るために言葉を交わそうとしている段階で、いきなり自身の弱みを打ち明けるくらいなら──やはり、聞いていて楽しく盛り上がれるような話をするべきだ。
(今の私は昔みたいに、何も知らない少女ではないと……知ってほしいだけなのに……)
清広から嫌われることを恐れたつぐみは、彼から視線を逸して口を閉ざした。