口下手な海上自衛官は、一度手放した元許嫁に海より深い愛を捧ぐ
 最初は何を言い出すのかと不思議がっていた清広も、すぐに彼女がずっと言い出せなかった気持ちを打ち明けていると悟ったようだ。

「清広さんがある日突然いなくなってから半年間、私はずっと、あなたのことばかり考えていました……」

 彼は反論することなく、じっと黙って彼女の主張に耳を傾ける。
 それが何よりも有難いと感じたつぐみは、勇気を振り絞って必死に言葉を重ねた。

「このまま交際と同棲を続けても、何かあった時。どれほど清広さんのことが好きで、互いに想い合っていたとしても……彼女としか、名乗れません……」

 もしものことなど、考えるだけでも胸が痛くて、苦しくて堪らない。
 つぐみは瞳にじんわりと涙が滲むのを感じながらも、泣かないように必死に耐えた。

(自分の素直な気持ちを伝えられないまま、永遠の別れが訪れたら……。私は今度こそ、立ち直れない)

 後悔だけは絶対に、したくなかったからだ。

「つぐみは俺の、妻になりたいのか」
「どう、でしょう……。私は清広さんの、帰る場所に……。なりたいんだと、思います……」

 清広から疑問を投げかけられたつぐみは、不思議そうに首を傾げる。
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