凍った花がとけるとき
「ん……っ」

 じゅっと舌を吸われて、吐息が漏れる。苦しくてとんとんと目の前の胸を叩けば、しばらくしてやっと解放された。けれど全身の力が抜けたせいか、くたっと背後のベッドに座り込んでしまう。

 わたしの両脇に手をついた海斗さんは、まだキスを止めない。それどころか、次の瞬間にはあっさりとベッドに押し倒されてしまった。

「あの……っ」
「んー?」

 間延びした返事が返ってくるけど、じっと見つめられるとそらせなくなってしまう。
「リモート会議って……っ、言ってませんでしたっ……?」

 まだ止まないキスの合間にそう問い掛ければ、「もう終わったから休憩」と返される。
 海斗さんの唇が首筋に移動すると同時に、トップスの裾から手が入ってくる。お腹のあたりを撫でられて「ひゃっ」と声が出た。
 それでも海斗さんの手は止まらず、するするとあちこちを撫でながら、ついに胸のうえにまで到達してしまう。
 下着のうえからとはいえ、やわやわと胸を揉まれて、身を捩った。その隙にトップスを捲られて、今度は胸元に唇が落ちてくる。

「……いや?」

 そんな聞き方はずるい。

「嫌じゃない……けど、恥ずかしいですっ。こんな明るいのに……っ」

 これまでは夜のわずかな光の中でしか繋がったことがないから、こんな昼間から抱き合ったことはない。

「じゃあこれからは電気点けてしよっか」
「……っ!」

 むしろそれが恥ずかしいって言っているのに。

「全部見たいし、全部欲しい」

 そう言って、ぎゅっと抱きしめられたら、喜びで胸が締め付けられる。

「もう全部、海斗さんのなのに……」

 思わずそう零したら、はっと顔を上げた海斗さんがこちらを見た。
 その頬が少し赤い気がする。

「紗央里は俺をおかしくさせる天才だよ」

 そう言われて、今度はスカートの中に手が入ってきた。
 再び上げそうになった悲鳴を、慌てて自分の手のひらで押さえる。

「さすがに今は我慢しようと思ってたんだけど……やっぱり無理」

 そう言って微笑を浮かべる海斗さんの瞳の奥には、先ほどより強い熱が灯っている。
 わたしの体の奥もじんと痺れるように熱くなっていて。目の前の海斗さんをもっと近くに感じたくて、掻き抱くように手を伸ばしたのだった。
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