あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…美李亜さん、言い過ぎです」
「だってムカつくんだもん。たまたま恵まれた容姿持って生まれて、にこにこしてるだけで可愛がってもらって…ただ運が良かっただけのくせに」
マネージャーに釘を刺されながらも美李亜はなお、その大きな瞳で未だ鋭く私を射抜いていた。
「何か言ったら?」
「…いえ、」
「ふーん。ま、そうだよね」
事実だもんね?と美李亜は目を細めて嘲笑する。
「性の対象にはなれるけど、本気にはならない。あんたみたいな女、その程度の女でいるのが限界だもんね?」
言うだけ言って満足したのか美李亜は横を通り抜けてそれ以上何か言ってくることは無かった。
哀れなものでも見るような目を向けてくる彼女のマネージャーに私は無言で頭を下げ、そのまま部屋を出た。
駐車場には既に和泉さんが待機していてくれたので車に乗り込み、自宅へ送り届けてもらう。
その間、頭の中では美李亜の言葉が何度も反響していた。そして頭を占めるのは、漣の顔。
思えば私は確かに好意を寄せてもらう事は多くあったけど、どれも雲のように不確かで軽いものだった。手に入れられなさそうで簡単に手が届く存在とでもいうのか、いずれも長くは続かず時には乗り換えられたり。
10代の恋愛なんて子どものおままごとのような恋愛だし、そういうものだと思ってた。
けれど違ったのかもしれない。
彼女の言う通り、私は誰の特別にもなり得ぬ存在でしかないのかと。
そう思うと、途端に酷く、寂しくなった。