あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「白雪」
名前を呼ばれミラー越しに和泉さんを見る。
「如月美李亜と何かあったのか」
「…いえ、バラエティ舐めてるのかって怒られはしましたけど」
「そうか。…まあそれは今後の課題として詰めていく。明日は昼からだが、最近立て込んでたし今日は早めに休め」
「分かってますよ」
自宅近くに到着し、いつも下ろしてもらっている場所でドアを開いた。
「明日は13時入りだ。迎えに行けなくて悪いがくれぐれも遅れるなよ」
「了解です」
パタンとドアを閉めて去っていく車を見つめる。その姿が見えなくなって、足を進めた。
向かう先は自宅ではない。
やめておけと理性が訴えているにも関わらず、私は駅でタクシーを拾い何度も口にした場所を告げた。
諏訪さんから忠告されたばかりなのに何をしているんだろう。そう自嘲しながら過ぎる景色を見ようとガラスに目配せすれば、酷く憂鬱そうな顔が写っていた。