あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
彼の思い
その翌週、私はある場所を訪れていた。
メッセージの相手からその場所に来るように言われ、私はとある建物に入った。
エントランスにある受付で名前を伝えれば部屋に通され、相手が来るのを待つ。そして間も無く、約束の人物が現れた。
「悪い、待たせた」
那由多が肩からタオルをかけながら現れ、ドアを抜けるとパタンと閉じた。
「あと、わざわざ来てもらって悪いな」
「ううん。元は私がお願いしたことだから」
「そう言ってくれると助かる。…これ、頼まれてたもの」
那由多から受け取ったのは以前からお願いしていたものだ。少し時間がかかってしまったのはお互いのスケジュールが合わず、かつ外でも簡単に会えるような立場でもなかったからだった。
スタッフの息子さんの誕生日は少し過ぎてしまったが、お願いを聞いてくれただけで十分だと言われているのでご愛嬌だと自分を納得させた。
「忙しいのにありがとう。でも稽古場まで来て良かったの?」
「じゃなきゃ時間取れなかったし。それにここが1番安全だろ?」
那由多は親指を立てて周りを指す。ガラス張りになったこの部屋は外から姿が丸見えで、会話は聞こえないだろうが何をしているかは一目瞭然だ。
それに苦笑いで返し、目に入った彼の首元の汗に差し入れだと言ってここに来るついでに買ったスポドリを渡した。