あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「んー…まあ二股は気の毒だけど、私達まだ20そこそこだよ。本気じゃないなんて言ったって軽いのなんて当たり前じゃない?」
「そうなのかな…」
「10代で愛してるなんて言われたって重いしキモいって。今でもちょっと無理なのに」
「はっきり言うなぁ」
「白雪だってそうでしょ。特に私達みたいに好感度がもの言う仕事はさ、質より量!人気が安定したらまた違うだろうけど、今は重かろうが軽かろうが好意持たれたもの勝ちじゃない?」
萌葉の言葉の説得力は凄まじかった。確かに、漣のことだけ思えば美李亜の言葉は的を射たものかもしれないけれど、仕事面で見ればたとえ欲の対象になろうが支持してもらえるだけ有難い。
改めて、芸能人というものを身にしみる言葉だった。
「それとも、本気で好きな人でもいるの?」
射抜くような視線にどきりとする。
萌葉には嘘がつけない。つきたくない。そう思うと、咄嗟に言葉が出なかった。
「そう…それは難儀だね」
何かを察した萌葉はコーヒーを飲んだ。
あえて深く聞こうとしないのは彼女なりの優しさなんだと思う。聞かれていたとしても、答えられなかったけれど。
「萌葉は…いる?本気で好きになった人」
けれど難儀だと言うものの否定をしようとしなかった彼女の台詞から、彼女もまた何かを抱えているのかと思えてやまなかった。