あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
その時私はどんな顔をしていたのだろう。
けれどどんなに泣きそうな顔をしていようとこの人はきっと変わらない。当たり前だ。悪いのは私。彼の信頼を裏切ったのは、他でもない私なのだ。
「その男が誰かもどんな間柄だろうと知った事じゃない。俺たちの言いたい事はひとつだ。…これ以上、失望させるな」
「…は、い」
すみませんと深く頭を下げれば、それ以上和泉さんが追及してくる事はなかった。
それが逆に罪悪感を増長させた。
その後私は追い出されるように社長室を後にし、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。
こうなるまでに散々色んな人から忠告を受けていたにも関わらず断ち切らなかった。和泉さんや社長に迷惑をかけて、失望もさせてしまった。
美李亜の報道や諏訪さんの機転が無ければ、どれだけの損害を受けたか分からない。そうなった時、被害を被るのは私だけじゃない。
分かってたはずなのに。
私には、危機感が無かった。
周りに甘えてた。舐めていた。
和泉さんの言う通り、真剣交際ならまだ救いはあったのかもしれない。けれど私達の関係は誰がどう見たって褒められたものじゃない。
もう本当に潮時なのだ。今すぐに選ばなければいけない。…仕事か、それとも、漣か。
——私は…
だけど答えなんて、ひとつに決まってる。