あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
すぐさま私は漣にメッセージを入れた。すぐに既読がついたのを確認し、タクシーで移動する。顔も体型も全てを隠し、及川白雪の要素を全て消してエントランスに入れば、一瞬顔を引き攣らせたコンシェルジュと目があった。
そこでようやく顔のものを外せば彼女は安心した顔を見せ、少し複雑そうではあるが何も言わなかった。
何も言われないところを見ると家に来ていた女性は今は居ないのだろう。
もう何度も通った道なりを進み、5階へと到着する。
静かに開いたエレベーターの扉に一歩踏み出せば、間も無くして顔の片側を赤く腫らした漣が笑顔で迎え入れた。
「白雪」
弾んだ声。いつもなら胸の高鳴りを覚えるその声にも、今日は欠片も心は動かなかった。
「…それ、どうしたの?」
自分の頬を突きながら問えば、バツの悪そうに漣は笑った。
「本命が来るから帰ってって言ったら一発入れられちゃった」
「…自業自得だね」
「否定できないな」