あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



ついて行った先は漣の取っている部屋で、一度自室へ戻って着替えてくると言ったのだが白雪の服は多めに持ってきてると返され、そういえばこの人はスタイリストとしてこの場に来ていたのだと、改めて実感した。

大分乾いた水着の上から借りたワンピースを羽織れば、隣で漣は肩からかけていたラッシュガードを脱ぎ捨てTシャツを羽織っていた。

その動作に昔の姿がフラッシュバックし、私は思わず視線を逸らした。

全面ガラスのオーシャンビュー。それを眺められる位置には大きなソファが置かれており、壁を挟んだ向こう側にベッドが置かれている。
私の部屋より格段に広いしインテリアも豪華に見えるところから、おそらくスイートルームというやつなんだろうと頭の隅で思った。


「座れば?」


ぼんやりと外の景色を眺めていれば声がかけられ、視線を戻してソファへ腰掛ける。
漣はもうひとつ置いてあったソファに腰掛け、その距離が今の私達の心のそれに比例している気がした。


「聞きたきたいことって、なに?」


平静を装いながら尋ねる。
けれど見据えられた視線に勝手に身体が反応し、手に汗が滲んでしまった。


「あれって本当なの?」


突然あれとか言われてもわからない。これまでの文脈にそれらしきものはあっただろうかと振り返っても思い当たる節は無かった。


「あれって何?」


そうなれば聞くほか無い。思ったままを尋ねれば、漣は表情を変えずに言ってきた。


「及川白雪の熱愛報道」

「……」

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