あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
答えるより先に目を剥いた。なぜ、国外に居たはずの彼が知っているんだろうと。
「なんで、知ってるの?」
「俺が質問したのに質問で返すの?」
「……」
「まあいいや。なら先に答えるよ」
漣は背もたれに寄りかかり長い脚を組み直しながら気怠げに言う。
「実は時々帰国してたんだよね。不動産の管理とか色々あって」
「不動産…」
「前にも言ったろ、祖父が色々遺してくれたって。基本は管理会社に一任してるけど、オーナーとしての仕事もそれなりにあるわけ」
「……」
「だから本当は知ってたよ。白雪が朝ドラやってたのも、大河出るのも。…ま、そういうわけで、連日あれだけ報道されてたらさ、嫌でも目に入るよね」
そう言って、試すような視線を投げかける。
「で、どうなの?及川白雪さん」
意地の悪い質問だ。それに罪悪感を刺激するような聞き方。自分を捨てておいて他の男に乗り換えた気分はどう?そんな風にも聞こえた。
けれど私は、それに答えることはしなかった。
「…漣は、私にどう言ってほしいの」
ピクリと漣の表情が動く。
またしても質問で返す事になったけれど、どうしても素直に答える気にはなれなかった。
「私の事がどうでもいいなら、そんな事聞く必要無いよね。それを聞いて、どうするの」