あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「俺、すげえ笑ってた」
「……」
「普通に考えてキモいだろ。何年も前にフラれた女の夢見て、報道にいちいち反応するとかさ」
漣は目を逸らす。その表情は、分からない。
「帰国決めたら決めたで途端に白雪の事務所から仕事の依頼来るし…ほんと何なんだよって」
漣はそれ以上言葉を発することはなく、再び静寂が落ちた。
急に漣が立ち上がり背を向けた。待って、そう言おうと身を乗り出せば背を向けたまま「白雪」と冷たい声がかけられる。
「答えはどっちでもいい、だよ」
「…え、」
「さっきの答え。白雪があの男と恋仲だろうがそうじゃなかろうが、俺にとってはどうでもいい」
「…!」
突き放されたと感じた。
それほどまでにどうでもいいのだと。
私がどこでどうしようが、誰とどうなろうが、欠片も漣の心は動かないのだと。
もう、あの頃の漣はいないのだと。
「…そう」
けど、そんなのよく考えたら当たり前だ。
あんなに辛そうだった漣を私は自分の都合で捨てた。眠れないと言っていた彼があの後どんな風に生きてきたのかも知らない。
私には、今更会いたかったと言う資格も、想う資格も、もう少しだって無い。
「…分かった」