あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「漣っ、待って!」
返事は無い。狼狽しながら漣の顔を掴むも、かろうじて食い込むのを阻止できているだけで時間の問題だ。
「っ…やだ!お願いやめて!」
遂には邪魔だと腕を押さえられ歯が肌に沈む。恐怖が一瞬にして体を駆け巡り、震えが止まらなくなった。これ以上されたら痕が残る。違う、そんなことより、もっと、
——漣が、怖い…
「お願い…いや、痛い…っ!」
どうしてこうなったんだろう。
漣を捨てたから?夢を選んだから?
私はただ、普通の恋人になりたかっただけなのに。
あの日、ゲームで勝った負けたなんてくだらない喧嘩をした、あの日みたいに。
「漣、やめて…」
「……」
「お願い、…っ、する、から」
途端に漣の動きが止まった。そして私の首筋に食い込んでいた痛みがゆっくりと離れていく。
「…今、なんて?」
少しだけ見開いた漣の目が私を写す。
彼の瞳に反射した私は涙に濡れていた。