あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…頭、冷やしてくる」
言うと漣はふらふらとベランダの方へ向かい外へ出た。
とりあえず難は去ったのか、そう思うと肩に入っていた力が抜けた。そっと首に指を滑らせるも特に痕はついていない。
明日の撮影に影響がないことを安心するのと同じくらい、自分がとんでもない提案をしたことを自覚した。
けれどああ言う以外に思いつかなかった。どうしようもなかった。
ただ、あの日の笑顔が見られたら、そんな事を思ったらつい口をついて出てしまったのだ。
戻ってきた漣がどう言うか分からない。
けれどひとつだけわかることがある。
また私は、同じ轍を踏むことになるのだと。
——どうしよう…
放ってしまった言葉は、もう、戻らない。