あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「えっ、」
初めてのパターンに動揺し、咄嗟に脳裏に浮かんだ否定の言葉を口にする。しかし男は慣れているのか動きに無駄が無く、ここから連れ出そうとしている。これはまずいと冷や汗が流れ、店員を呼ぼうと辺りを見回せば近くに座っていた男と目があった。
これだけ人がいる中でも色褪せることのない、一際目立つその男と。
「……」
漣はただ無表情でそこに居た。いつからいたのかとか、どこから見てたのかとか言いたい事は色々ある。が、ひとまずは「助けろ」と意味を込めて睨んだ。
すると漣は肩をすくめ、ゆっくりと立ち上がった。
「Hey」
漣が側に立ち、私と男を見下ろす。
冷たく纏わりついた雰囲気は怖いとすら思うのに、今だけはそれがひどく安心した。
漣はひと呼吸おき、そして言い放った。
「あんた日本語わかるだろ。くだらねー手使ってんじゃねえよ」
「え?」
漣の言葉をに疑いの視線を向ければ、男はきょとんとした後、にんまりと笑った。
「バレてたか」