あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「白雪はそうじゃないかもしれないけど、一晩でいいから俺に抱かれたいって女はそれなりにいるんだよ」
「…何が、言いたいの」
私は隣に腰掛ける男を見つめ問いかける。
流れてきた視線にどきりと胸が跳ねた。
「白雪はさ、そんな男に愛されてたんだよ」
「……」
漣はテーブルにチップを置き、私の手を取って「行くよ」と言葉少なにラウンジを後にした。
エレベーターに乗り込み向かった先は初日に話をした漣の部屋。ガラス越しに見える美しかった海はあの日と違って闇に染まり、本降りになった雨が鬱々とした雰囲気を醸し出していた。
ここまで抵抗せずに来たのは、あの日の返事を聞かされると思ったからだ。
イエスかノーの2択。それを告げられるまでの時間は、恐ろしく長く感じた。
「同居の話だけど、」
切り出された話にごくりと息を呑む。
漣は静かに振り返り、落ち着いた声色で言った。
「同居はしない」
「……」
その返事に、安心すると同時に落胆した。
やはりあの日の言葉は冗談だったのかという思いと、昔と同じようにはならなくて済むという安堵。相反する気持ちが、私の胸を締め付けた。