あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
歪みの向く先
目が覚めたのは和泉さんからの電話だった。
これからスタッフと共に帰国するから十分に気をつけろと、帰国したらすぐに事務所へ連絡を入れろとのお達しだった。
私はそれに寝起きの回らない頭で「はい」と返すだけだった。
昨夜は結局漣の部屋で眠った。過去にあれほど抱かれていたのが信じられないほどにプラトニックで、漣は抱きしめるだけでキスすらしなかった。
一体何を考えているのか、そうは思うが自分でも驚くほどに眠れてしまった。人肌が恋しかったのだろうか。それとも漣の香りを感じたからか。
『白雪、聞いてるのか?』
「はい、聞いてま…」
ぴくりと身体が跳ねる。ベッドサイドに腰掛けて会話をしていたのだが、漣が髪を掻き分けて首筋にキスをしてきたからだ。
『白雪?』
私が急に話さなくなった事で怪訝な声がかかる。絶対わざとだ。腹の奥に燻る怒りを抑えて、私は会話に集中させた。
「すみません。頭痛がひどくて」
『また眠れなかったのか』
「枕が変わったからですかね。薬飲んで休めば問題ありませんよ」