あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「白雪、今日の予定は?」
背後から聞こえる漣の声に、私は振り向かずに答える。
「…イルカウォッチングとウミガメシュノーケリング予約してる」
「へえ、いいね」
部屋着を落としてシャツを羽織ったところで、軽く振り向きながら言う。
「本当についてくる気?」
「なんで?」
「漣にマリンアクティビティとか死ぬほど似合わない」
「すごい言われよう」
「だって興味ないでしょ」
「確かに興味は無いね」
けど、と漣は続ける。
「それを見てはしゃいでる白雪には興味あるよ」
頬杖をつきながら妖艶に笑う漣の表情に思わず胸が高鳴った。人の好みは変わらない。相変わらず私は漣の顔が、どうしようもなく好きなのだ。
「はしゃがないよ…もうそんな歳じゃないし」
「ああ、確かにバラエティでもいつも落ち着いてるよね」
「それはイメージもあるし…ってそれも見てたの?」
「うん。食べた物の総額で設定金額狙うゲームでボロ負けして、全額支払ってた白雪までしっかり見たよ」
「なんで人の黒歴史を掘り出してくるの…」
「表に出さないよう笑ってたけど、あの時相当悔しかったでしょ」
服を着る手がピタリと止まり、漣を見た。
「…分かるの?」
そう聞けば、漣はさも当然のように「分かるよ」と答えた。