あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「可愛いなと思うけどそれだけ。大事にしたいなとか、そういうのは感じなかったよ」
「…けど、不特定多数と適当な関係持ったって虚しいだけじゃない」
「白雪がそれ言うの?」
声を上げて笑う漣の笑い声は、渇いて聞こえた。
「その虚しさを埋めてくれるのは白雪だけだったんだよ」
「……」
そこで会話は途切れてしまった。
丁度移動手段のバスが到着したと言うこともあったけれど、返す言葉が見つからなかった。
謝罪を返したところで意味はない。例え今あの時に時間が戻ったとしても、私は別れる決断を下す。何より、あの頃の私には漣の抱えるものは重過ぎた。
それ以外、言えることは無かった。
「…ねえ、漣」
並び座ったバスの中で静かに問いかける。
「今でも、眠れない?」
漣は答えることは無かった。馬鹿な質問だったと思う。そんなこと、分かりきっていたのに。
その後の私達は終始無言だった。