あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…白雪」
漣がそっと手を伸ばし、私のサングラスを掬い取る。露わになった瞳はぐずぐずに濡れていて、それを見て漣は困ったように笑った。
そしてそのまま「おいで」と言って手を引き、影のあるところまで私を誘導した。
「…白雪はさ、あれだけひどい事されたのになんでまだそんな男が好きなの」
「…そんなの私が知りたいよ」
漣から差し出されたハンカチを奪い取って顔に当てる。壁に背を預けて立つ漣と対象に、私はその場にしゃがみ込んだ。
そっかと笑うと、少しだけ静寂が落ちる。何と返されるか身を固くしていつまでこうしていればいいのかと思っていると、湿度が低く程よい気温は母国と違った心地よい風が肌を撫でた。
「さっきの話。俺は別に白雪に捨てられた事恨んでないよ」
ハンカチで顔の半分を埋めたまま見上げ、一度だけ鼻をすすった。
「…嘘」
「いや本当に。そもそもそんな事図々しいこと言える立場じゃないでしょ」
それを言われると黙るしかない。一応最低だったという自覚はあったのかと、頭の片隅で思った。