あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
そう言って笑う漣の目は全く笑っておらず、軽く背筋に冷たいものが走った。
「…なら、同居を断ったのは」
「ん?ああ、すぐにでも俺が持ってる物件に来てもらえば必要無いかなって。そっちのが広いし住み心地良いし、セキュリティも万全だし」
「……」
手のひらで泳がされている感じが否めない。一体どこからが計算で、計画的に進められていたのだろうと彼の執念と強かさには恐怖すら覚える。
「俺が怖い?白雪」
けれど狂気とも取れる言葉とは裏腹に、漣の声も手も恐ろしい程に優しい。けれど絡ませられた指が、視線が、欠片も逃すつもりはないと物語っていた。
恐ろしいはずだ。漣の執念は私が思い描いていた以上に深く、重い。
だというのに私は、何故かそれらから逃れたいとは少しも思わなかった。
「…まあ、今さら怖気付いても遅いんだけどね」