あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
チュッとわざとらしい音を立てて額にキスを落とす。
「ビジュアル良し、不労所得あり、おまけに一途。ステータスだけ見れば完璧な男だけど、どう?」
「…それ、自分で言うの」
「それくらい自分に自信が無いと及川白雪にプロポーズなんて出来ないでしょ」
けらけらと笑う漣はどこまでも楽しそうだ。
我欲と激情の中に埋もれた男は微かな理性すら失いよりおかしくなっている。漣は自分でも壊れている事は分かっているのだろう、その上で、私を得ようと足掻いている。
漣の歪んだ愛情をただ一途と捉えるには些か甘い気はする。けれど、愛した男にそれほど求められて逃げられる女がいるのだろうか。本当に言葉どおりに彼が私だけを愛してくれると言うならば、私は素直に、彼の手を取りたい。
私だって、とっくに壊れている。あの日、漣に心を奪われたあの日から。結局は同じ穴の狢なのだ、私達は。
「…プロポーズ、受けてあげてもいいよ」
結局それほど悩まず出た言葉は、可愛げなんて欠片もない横柄なものだった。